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2004年7月4日 [The Japan Times] 記事全文

政治の中の若者たち ~政治的無関心の風潮に反抗するインターン生~

悲しいことに日本人、特に若者たちは政治に対して 興味を失っている。ところが東京在住の田倉三葵さん (21)はその例外だった。

18歳のとき、彼女は高校の交換留学でアメリカに渡 った。それはちょうど大統領選挙の年で、彼女の友人 たちはホワイトハウスでの競争に興奮していた。しか しその政治に対する熱狂は、田倉さんにとって目新し いと同時にショックなことだった。

「私は日本の政治について何も知らなかったし、彼ら の質問に対して何も答えられなかった自分を恥ずかし く思いました」

と彼女はその時の思いを語った。 ペンシルバニアのディケンソン・カレッジで2年間学 んだ後、帰国した田倉さんは上智大学に3年生として 入学した。大学での授業のほかに、彼女は政治家の下 で働き、直接の政治について学ぶための機会を探し始 めた。

「自分の目にどのように映るか見てみたかったのです」 と彼女は語った。

程なくして彼女は、大学生の政治に対する興味を喚起 するために政治家事務所へのインターンシップを調整 しているNPO団体であるI-CASに出会った。このプログ ラムを通して田倉さんほか5人の学生は、世田谷区議会 議員の関口太一議員(28)を紹介された。5月の中旬か ら田倉さんは週4日大学に通い、カラオケボックスでの バイトをこなしながら週2・3回を関口議員の事務所で インターンを行った。

田倉さんの先月の典型的なインターンとしての1日は、 関口議員が街頭演説を行っている大井町線沿いの尾山 台駅で始まった。関口議員の演説中、田倉さんと他の インターン生はスーツを着て、素敵な笑顔で、できる 限り多くの人に関口議員の政策ビラを手渡した。

事務所に帰った後は、田倉さんは新しい政策ビラの レイアウト作成を手伝い、一方で他のインターン生は 次回本会議に向けたアンケート調査のため、一軒ごと 有権者宅をまわった。

そしてその後、インターン生は残りの時間を、 参議院選挙における民主党候補者の公選ハガキを関口 議員の支持者に送るため、宛名書きをして過ごした。

インターン生の仕事は単純なように見えるが、実は やることに事欠かない。関口議員との活発な議論を楽し みながら、彼らは様々なことに熱中することができる。 政治家の仕事に参加し、また様々な人と出会うことによ って、大学では学び得ない政治と社会についての多くを 学んだ、と田倉さんは語った。

彼らは交通費のほかは何にも賃金が払われないことを 全く気にしていない。

「メディアからの情報をそのまま鵜呑みにすることなく 一定程度の距離を保つことは重要である、ということも 分かるようになった」と彼女は語った。

政治への純粋な興味からインターンシップへとつながっ た田倉さんと違い、ただ単に就職活動を有利に進めるため だけに参加した人たちはある種議員インターンシップに 戸惑うかもしれないと語った。

全国規模の議員インターンシップ組織である他のNPO団体 dot-JP関東地域代表の井桁さん(21、慶応大学3年生)に よると、dot-JP参加者のうちのたった20%しか、政治への 興味を明言していないという。多くの参加者は単に社会的 な経験に興味があるだけだと彼は言っている。彼らの目的 意識に関わらず、プログラムの最後にはdot-JPのインター ン生のうち80%が政治家に対して良いイメージを持つよう になった、とも彼は言っている。

「政治家は贅沢な食事をしている上流階級出身で、汚い人 々だと思ってきました。しかし、彼らは全くそうではなか ったのです。」

と田倉さんの仲間でI-CASインターン生の岸江直彦さん (21、法政大学)は語った。この学生たちは自らの社会的 関心で、この議員インターンシップ活動に取り組んできた が、同世代の中では少数派である。

「政治家の下でインターンをしたと言うと、皆私を風変わ りだと見なして、その政治家がどの政党に所属しているの かというような質問をするのです」 と土屋佑真さん(20、法政大学3年生)は語った。

「私たち同世代の人間は、自分たちが日本人であり、社会 の構成員であるという意識が低いのです。」

と田倉さんは言う。 「彼らは単に興味がないだけであって、それは私が格闘技に 興味がないのと同じことなのでしょう。」とも彼女は言った。

社会に対する意識が高くなった彼女は今、政治に対する無関 心な風潮を一掃するためには、投票する重要性を友人たちと 話し合うことが重要だと感じている。

「選挙があることさえ知らない人がいるのです。しかし、私が 友人3人に選挙の重要性を話し、そしてその友人たちがまた各 々の友人3人に話をする。もしこういったことを皆が行えば世 の中は変わると信じてます」

『たった一票の投票が、社会を変えることが出来るんだよ』 と、関口議員から聞いた言葉は今も彼女の胸に残っている。