新しい時代の東京へ Reborn

都議会での発言Metropolitan Assembly

新銀行東京の整理を!

関口発言

昨年の暑い夏のあの都議選。新銀行東京からは早期撤退する必要があると都民の皆様に何度も訴え、多くのご支持をいただきました。都 民の皆様は、四百億円もの税金を追加出資してまでこの銀行を存続させたことに大いに憤慨され、さらには、税金が再度失われるのでな いか、こう不安を抱かれ、投票行動に移されたと思います。こうした都民の皆様の思いを胸に、新銀行東京についてお伺いいたします。 先日、新銀行東京の決算が発表され、実質業務純益が十七億円の赤字となり、赤字が続く状況からいまだに抜け切れておりません。一方 で、昨年の秋、同じく中小企業支援目的で、東京都は新たな保証つき融資制度を開始しました。これは、都と連携した金融機関に対して は、融資の焦げつきが発生した場合、九割を補てんするというものです。市中の金融機関でも借りられず、保証協会の融資制度も受けら れなかった中小企業に対する最後のセーフティーネットともいえるこの新たな制度は、中小企業支援には効果的なものと考えます。一方 で、現在、新銀行東京は、これ以上の損失拡大が許されない中、中小企業に対しては、保証協会を通じた融資をふやしていると耳にしま す。これでは、普通の銀行と何ら変わらず、新銀行の存在意義はどこにあるのかと、だれしも考えてしまいます。また、新銀行東京は、 この新たな融資制度の取り扱い銀行として名乗りを上げたものの、財務の健全性などの基準を満たさないとして除外されたと聞いていま す。その結果、中小企業は、新銀行を通じては新たな制度を利用できないこととなり、どう考えても、新銀行の存在意義が失われている といわざるを得ません。融資による中小企業支援はできない新銀行と、融資による中小企業支援を行う新たな保証制度という、いわば同 じ目的を持った二つの事業は、国会なら、まさに仕分けの対象となり、むだと判定されるのはどちらかといえば、一目瞭然だと思います 。融資による新たな中小企業支援の制度が整備され、しかもそこに新銀行が加われない中で、この銀行は一体何のために存在をしている のか、改めて東京都の見解をお尋ねします。新銀行東京からの早期撤退という主張は、私個人の公約でもありますが、我が都議会民主党 の公約でもあります。一方、都知事は、撤退すれば十万人を超す人間が路頭に迷うといい放たれるばかりで、我々の主張には一切耳を傾 けません。ここで率直な疑問を申し上げたいんですが、新銀行東京から撤退をして、果たして十万人の人が路頭に迷うことなどあり得る のでしょうか。現在、新銀行から融資を受けている企業の中で、約束どおり返済を行っている企業、すなわち返済能力のある企業は、ほ かの民間金融機関が引き受けるでしょう。そして、残念ながらほかの金融機関が引き受けない場合は、国が支援を拡大した信用保証協会 や、ましてや都の新たな制度というセーフティーネットがあり、これらを通じた支援も可能であります。都知事選挙まであと一年となり ますが、この銀行をどうするのか全く見えてきません。石原知事が再出馬されるのかどうか、そんなことはどうでもいい話ですが、新銀 行東京はそういうわけにはいきません。都民に対して明確な方向性を示してもらう必要があります。仮に石原都知事がいなくなったとし ても新銀行は残るんです。知事が、ややこしい問題は次の人に丸投げするといったいいかげんな対応はされないと思うがゆえに、お尋ね します。信用保証協会の枠が拡大され、さらには都の新たな保証制度も整備され、まさにセーフティーネットがしっかりと整備されつつ ある今こそ、勇気を持って株式売却や事業譲渡など、撤退を視野に入れた出口戦略を描く必要があると考えますが、知事の見解を求めます。

知事答弁

関口太一議員の一般質問にお答えいたします。新銀行東京の今後についてでありますが、たとえ主張が異なるにしても、現に営業してい る金融機関について公の場で論ずるとすれば、多数の取引先や預金者がいることを慎重に考えて行うべきものだと思います。新銀行東京 は、既存の金融機関では貸すことが困難な小零細企業の窮地を救うために設立したものであります。この設立趣旨に反して、旧経営陣の ずさんな経営で経営悪化を招きましたが、新銀行東京は、現在でも二千億を超える預金を有するとともに、他の金融機関では相手にされ ない、赤字、債務超過を含む八千社を超える取引先を支援しております。これまでも再三申し上げてきましたが、新銀行東京を利用して いる取引先の従業員やその家族を含めると十万人にも及ぶ関係者、さらには預金者のことを考えれば、都が新銀行東京から撤退すること は大きな大きな混乱を招くものであります。撤退を一方的に主張するのは簡単ですが、現に黒字で営業している金融機関をなくして困る ことはないなどということを責任を持っていえるんでしょうか。金融機関である新銀行東京に風評被害を与えることは、本当に迷惑千万 であります。いかに新人とはいえ、政治家として粗雑、軽率な発言は慎んでいただきたい。新銀行東京は、新たな経営陣のもとで懸命な 努力を重ねた結果、黒字を計上するところまで来ました。今すべきことは、小零細企業を支援するという役割を再び十全に果たせるよう に再建を進めることであります。重病からようやく立ち直った病人を、なぜ見殺しにするのか。私は全く理解に苦しみます。その他の質 問については、教育長及び関係局長から答弁します。

産業労働局長答弁

新銀行東京の存在意義についてのご質問にお答えいたします。知事からお答えしましたとおり、新銀行東京は、他の金融機関では支援が 難しい多くの赤字、債務超過先を含む八千社を超える中小零細企業と取引を行っております。さらに、国の方針を先取りする形でリスケ ジュールに取り組むなど、取引先である中小零細企業の実情を踏まえ、きめ細かく支援しております。昨年十月に取り扱いを開始したば かりの新たな保証つき融資制度の取り扱いをまだ行っていないことなどをもって、その存在意義を疑問だとする主張は適切でないと思い ます。厳しい経済金融情勢のもとで苦しんでいる中小零細企業を支援するためには、多様な支援ツールを用意し、活用することが重要だ と考えます。あえて述べますと、かつても制度融資は存在しておりましたが、さらに中小零細企業の資金繰りを支援することが必要との 認識のもとに新銀行東京は設立されました。その状況は、今も変わっていないと思います。都としては、多様なツールを効果的に活用す ることで、中小零細企業に対する金融支援策の充実を図っているところであり、その中で新銀行東京の役割も欠かすことはできません。 新銀行東京は、再建に向けた懸命な努力の結果、平成二十一年度第三・四半期決算においても、中間期に引き続き黒字を計上しておりま す。今後とも、その設立目的である中小零細企業への支援を十全に果たせるよう、再建を着実に進めてまいります。

関口発言

知事は、銀行は黒字、黒字と胸を張っていわれますが、黒字の今だからこそ、売却先や譲渡先を探すチャンスなのではないかと私は申し 上げているのです。なぜこう申し上げるかといえば、交渉はタイミングが重要だからです。今、保証制度やセーフティーネットが整備さ れて、また黒字体質に向かいつつある今こそがそのタイミングじゃないのかと申し上げているのです。知事は、この銀行をさらに縮小し ていく計画をお持ちだと思いますが、その再建計画の後は、都がこの銀行を持ち続けるべきと考えているのか、売却等の交渉がこれから 必要だと考えているのか、あるいは清算を考えているのか、その先が見えません。

産業労働局長答弁

いろんな検討をするのは今のタイミングというご質問でしたけれども、委員の質問にもありましたけれども、新銀行東京は現在再建を進 めておりますが、銀行自身が認めているように、実質業務純益の黒字というものが銀行の取り組むべき現在の課題です。そこがまだ未達 成の段階で委員がいうようなことは、現実問題として不利です。私どもは、その銀行自身の取り組みと同時に、再建を進め、実質業務純 益を達成する、黒字を達成するということに全力を挙げております。